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黄色ブドウ球菌が引き起こす典型的な食中毒とは?

平成20年5月20日、青森県でおにぎりを食べた男女6人が食中毒症状を訴え医師の診断を受けたところ、患者の便や残ったおにぎりから、黄色ブドウ球菌が検出されたと、青森県保険所が発表し、これを毎日新聞の地方版で報道された。

黄色ブドウ球菌は、主に調理者の手洗い不足や手指にけがをした状態のまま調理をしたことが原因となるケースが大半です。

人間や動物の皮膚に擦り傷・切り傷などがある場合、そこから化膿し、黄色ブドウ球菌ができます。また、その他にも、おでき・鼻の中・ニキビ・水虫なども発生要因となります。

今回の食中毒で考えられる発生要因は、調理者が調理前の手洗いを怠っていたか、正しい手洗いがなされなかった可能性があること。または、調理者の手指に、何らかの傷があった可能性も考えられます。es0012.jpgtebukuro001.jpg

例えば、調理現場では、調理者が、手指に傷を負いその傷を絆創膏で巻いた状態のままで手洗いを行い、そのままお刺身・サラダ・おにぎり・すしなどを調理するケースが考えられます。
調理者自身は、傷を絆創膏で巻いているので傷口から黄色ブドウ球菌が感染することはないと考えてしまいがちですが、それは間違いなのです。

絆創膏を巻いていても、絆創膏自体が濡れた状態では他に感染する可能性が考えられます。どうしても手指に傷を負った状態で調理を行う場合は、伸縮性のある樹脂製の食品用手袋を着用し、調理をすることです。その場合、手袋表面を洗浄しアルコール除菌することが条件となります。teyubi1.jpgtearai1.jpg

実際に、手指に傷を負った状態の手指表面の細菌検査を実施すると、手洗い直後であっても黄色ブドウ球菌が検出されているのです。

可愛い園児たちをノロウイルスから守るための予防法

平成20年5月17日の毎日新聞の記事により明るみに出た、高知県四万十市立の保育所の給食が原因とみられるノロウイルスによる集団食中毒事件についての予防対策を詳しく解説いたします。

今回の事件の発生を受けて県保険所は、3日間の給食調理を自粛し、厨房(ちゅうぼう)などの消毒をした。

問題は今後どのような予防対策を実施し、給食を再開させるのかということなのです。

今回と同様の食中毒は、すでに全国各地で発生しているのですが、結局のところ過去発生した食中毒事件の教訓が生かされることなく、その後も今回のような食中毒が発生し続けているのです。

先ず、ノロウイルスについてですが、既に冬に限定した食中毒原因物質ではないということを再認識すべきです。
次に、ノロウイルスは、カキや二枚貝だけが原因で発生するという認識も改める必要性があります。

今回のように、原因食材の中にカキや二枚貝の含まれていない給食(鶏料理や、タマネギ、モヤシなどを使ったゴマ酢)からも発生しているのです。
そして、最も重要な予防対策についてですが、

第一に調理者の健康管理です。調理を行う人が発熱・下痢・嘔吐または、その他体調不良の場合は、調理作業を絶対にさせないことです。いわゆる保菌者からの二次感染がおこることを事前に予防するということです。

第二に、調理室に入室する前、および調理作業を行う前には、必ず「正しい手洗い」を励行することです。同じく二次感染を予防するためです。

第三に、生鮮食材を調理する前には、十分な洗浄とすすぎをおこなうことです。特に魚介類の洗浄は大切です。また、サラダ・和えものなどのように加熱しない料理には、特に注意が必要です。

第四に、包丁・まな板・布巾などの調理用具は、調理前にアルコール除菌剤ウイルス予防型の除菌剤でしっかり除菌してから調理を行うことです。これも二次汚染予防のためです。

最後は、調理室の床面・排水溝・ごみ箱・シンクなどをしっかり清掃し、室内環境からの二次感染を予防することです。

以上の5つの予防対策をしっかり把握し、それをマニュアル化し実践してこそ本来の予防対策になります。他で発生した食中毒事件を如何にして教訓としていくかが大切なのです。

我々は、吉兆問題をどうとらえるべきか?

またも、名門料亭「吉兆」の不祥事が明るみに出た今回の「食べ残し料理の使いまわし問題」・・・連日、マスコミ報道でどんどん明らかにされる実態に、あなたはどのようにこの問題をとらえていますか?

食品衛生上の問題としてとらえた場合、刺身の使いまわしは、特に重大な食中毒を引き起こす可能性のあるほど危険な行為です。

刺身のように、加熱調理をしていない生の状態の食品は、微生物学的に言えば、一旦お客様に提供され常温(約20℃前後)で放置された場合、約2時間を経過した時点から細菌が一気に増加スピードを上げ増殖傾向をたどります。

細菌増殖の目安としては、約2時間経過で食品1gあたりの細菌数は、約数千個/gに達し、約3時間経過では約数万個/g、さらに時間と共に細菌数は、増加し数千万個に達した時点で、いわゆる初期腐敗(酸敗・変敗の初期状態)の状態に達するのです。

このように、細菌に汚染され腐敗状態にある食品を食べると、食中毒症状を引き起こすことにつながるのです。

さらに、今回の問題では、一旦お客様に提供され食べ残した食品の場合、手つかずだから安全という誤った認識ではなく、手つかずにかかわらず、温度と時間の経過と共に自然と細菌の増殖がおこっているということを認識すべきなのです。

「もったいない精神」の矛先がお客様の安全を脅かすようでは本末転倒です。大切なお客様と社会の信頼を失うことこそが、本当に「もったいない」ことだと思います。

夏にかけて気をつけたい「ウェルシュ菌」の正体とは?

平成20年5月5日の産経新聞によると、4月26日長野県で、仕出し弁当を食べた男女54人が下痢や腹痛などを訴える集団食中毒が発生し、長野市保健所は4日、弁当を調理販売した飲食店を原因施設と断定し、7日までの営業停止にした。

保健所によると、食べ残しなどから「ウエルシュ菌」が検出された。この菌は、30~47度くらいになると急速に増殖するため、大釜で多量に加熱調理し、室温で冷まして長時間放置した食品に繁殖しやすいという・・・。

最近の食中毒では、ノロウイルスやカンピロバクターが食中毒原因物質として特定される事例が多い中、珍しく今回の食中毒事例では、「ウェルシュ菌」が特定されている。

珍しいと言っても、昨年2007年度の食中毒統計(速報値)では、全国で2,131人の食中毒患者を出している。

その原因食品の多くは、大きな釜や鍋で調理されたカレーやシチューそして焼き飯などが挙げれれている。

この菌の特徴をひとことで言うと、「酸素のないところを好む熱に強い菌」と言える。
いわゆる嫌気性耐熱性菌(芽胞菌)と言われている菌の種類である。

ウェルシュ菌は、気温の高い夏場を中心に発生し、一旦加熱調理した食品を自然冷却する時や常温で保管した場合に発生しやすくなる。

さらに詳しい予防対策については、こちらを参考にしてください。

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