カンピロバクター予防のQ&A
カンピロバクターの予防対策における一問一答Q&A
1)カンピロバクターとは、どのような食中毒細菌なのか?
カンピロバクターは、家畜の流産あるいは腸炎原因菌として獣医学分野で注目されていた菌で、ニワトリ、ウシ等の家きんや家畜をはじめ、ペット、野鳥、野生動物などあらゆる動物が保菌しています。
1970年代に下痢患者から本菌が検出され、ヒトに対する下痢原性が証明されましたが、特に1978年に米国において飲料水を介して約2,000人が感染した事例が発生し、世界的に注目されるようになりました。
カンピロバクターは15菌種9亜種(2000年現在)に分類されていますが、ヒトの下痢症から分離される菌種はカンピロバクター・ジェジュニがその95~99%を占め、その他カンピロバクター・コリなども下痢症に関与しています。
カンピロバクターは本菌に汚染された食品、飲料水の摂取や、動物との接触によってヒトに感染します。
100個程度と比較的少ない菌量を摂取することにより感染が成立することが知られています。
2)カンピロバクターに感染するとどんな症状になるのですか?
症状については、下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などであり、他の感染型細菌性食中毒と酷似します。
多くの患者は1週間で治癒し、通常、死亡例や重篤例はまれですが、若齢者・高齢者、その他抵抗力の弱い者は重症化の可能性が高いことに注意が必要です。
また、潜伏時間が一般に2~5日間とやや長いことが特徴です。また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があることが指摘されています。
3)どのような食品がカンピロバクター食中毒の原因になるのですか?
カンピロバクター食中毒発生時における患者の喫食調査及び施設等の疫学調査結果からは、主な推定原因食品又は感染源として、鶏肉関連調理食品及びその調理過程中の加熱不足や取扱い不備による二次汚染等が強く示唆されています。
2005年に発生したカンピロバクター食中毒のうち、原因食品として鶏肉が疑われるもの(鶏レバーやささみなどの刺身、鶏のタタキ、鶏わさなどの半生製品、加熱不足の調理品など)が66件、牛生レバーが疑われるものが15件認められています。
また、欧米では原因食品として生乳の飲用による事例も多く発生していますが、我が国では牛乳は加熱殺菌されて流通されており、当該食品による発生例はみられていません。
この他、我が国では、不十分な殺菌による井戸水、湧水及び簡易水道水を感染源とした水系感染事例が発生しています。