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食品衛生のプロ、ミスター0がゆく!

我々は、吉兆問題をどうとらえるべきか?



またも、名門料亭「吉兆」の不祥事が明るみに出た今回の「食べ残し料理の使いまわし問題」・・・連日、マスコミ報道でどんどん明らかにされる実態に、あなたはどのようにこの問題をとらえていますか?

食品衛生上の問題としてとらえた場合、刺身の使いまわしは、特に重大な食中毒を引き起こす可能性のあるほど危険な行為です。

刺身のように、加熱調理をしていない生の状態の食品は、微生物学的に言えば、一旦お客様に提供され常温(約20℃前後)で放置された場合、約2時間を経過した時点から細菌が一気に増加スピードを上げ増殖傾向をたどります。

細菌増殖の目安としては、約2時間経過で食品1gあたりの細菌数は、約数千個/gに達し、約3時間経過では約数万個/g、さらに時間と共に細菌数は、増加し数千万個に達した時点で、いわゆる初期腐敗(酸敗・変敗の初期状態)の状態に達するのです。

このように、細菌に汚染され腐敗状態にある食品を食べると、食中毒症状を引き起こすことにつながるのです。

さらに、今回の問題では、一旦お客様に提供され食べ残した食品の場合、手つかずだから安全という誤った認識ではなく、手つかずにかかわらず、温度と時間の経過と共に自然と細菌の増殖がおこっているということを認識すべきなのです。

「もったいない精神」の矛先がお客様の安全を脅かすようでは本末転倒です。大切なお客様と社会の信頼を失うことこそが、本当に「もったいない」ことだと思います。


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