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食品衛生のプロ、ミスター0がゆく!

またもウェルシュ菌による集団食中毒が発生



平成20年5月9日に社会福祉法人「大阪府衛生会」が経営する児童養護施設「健康の里」(高槻市奈佐原)で給食を食べた89人のうち3~17歳の児童を含む計57人が下痢や腹痛の症状を訴えた食中毒事件が発生したと12日朝日新聞の記事が伝えている。

いずれも軽症で、全員が快復したという。高槻市保健所は発症者の便から検出されたウェルシュ菌が原因の食中毒と断定、施設に対し、12、13両日の調理業務停止を命じたとのこと。

同保健所によると、発症者らは10日未明から症状を訴え始めた。9日の夕食の白菜とかまぼこのくず煮が原因食品とみられるという。ウェルシュ菌は大きな鍋で煮物などをつくる際、加熱不足で中心部の温度が低いと増殖し、食中毒を引き起こすとされる。

健康の里はアレルギー体質や食事療法の必要な児童らを療養する施設。05年11月、O(オー)157の集団感染が発生、13人が症状を訴え、このうち3歳の男児が死亡している。


実に何とも言い難い今回の食中毒事件ですが、原因物質とされる「ウェルシュ菌」については、先日もこのサイトで詳しく予防についてお伝えしたバリの出来事に残念でなりません。

ここで、もう一度「ウェルシュ菌」について、予防のための復習をしたいと思います。

今回の事件を例にとると、「白菜とかまぼこのくず煮」を調理していた大鍋の加熱不足または加熱後の常温下での自然冷却時に、煮物の中心部分が長時間無酸素状態となり、無酸素状態と熱に強い菌(ウェルシュ菌)が増殖し、その菌に汚染された煮物を入所者が食べて発生可能性があるのではないかと考えます。

ウェルシュ菌は、いわゆる「芽胞」というカプセル状の熱に強いバリヤーを菌の周囲に形成し熱から菌を守る特性を持っており、さらに、無酸素状態を好むいわゆる「嫌気性菌」の分類に定められています。

具体的な予防策としては、大鍋での煮込み料理を作る際は、鍋の中心温度が75℃以上になるまで攪拌しながら加熱調理を十分に行い、調理後は、出来る限り2時間以内を目安に喫食するか、あるいは保存する場合は、短時間で冷却し小分けして10℃以下の保存をすることが重要です。

くれぐれも大鍋のまま常温保存することは避けてください。

さらに詳しいウェルシュ菌については、こちらから


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