食品衛生のプロ、ミスター0がゆく!
飲食店の大敵・・・「小バエ」の対策
飲食店様だけではなく、食品工場様も含め食品の製造調理に携わる方々にとって、この時期の悩みの種は、「小バエ」です。
いわゆる「ニクバエ」のような大型の黒いハエとは別に、「小バエ」は、どこで発生し、どこからやってくるのか?知らぬ間にどんどん増えている・・・そんな経験のある方もおられるはず・・・。
今回は、「小バエ」の発生する原因となる可能性が一番高いと考えられる「排水溝および排水ピット」に焦点をあてて解説いたします。
右の写真は、通常、飲食店等で一般的に普及している小型の排水ピット(グリストラップ)です。
排水溝から流れ出た廃液は、一旦、このグリストラップに集積され、水と油に分離し水のみが排出される仕組みになっています。
実は、このグリストラップの清掃状態が悪い場合に「小バエ」が大量発生する原因となるのです。
写真の中で、手で持ち上げているのが「一次トラップ(メッシュ)」です。小バエ対策の第一は、この一次トラップを毎日目詰まりなく清掃することです。ここは非常に重要なポイントです。ここをおろそかにすると、油水分離ができなく、グルストラップ全体に汚れが付着し、悪臭や雑菌や小バエの発生を引き起こします。
2枚目の写真は、グリストラップ内の壁面の様子です。
日々清掃を実践しているグリストラップは、この写真のように壁面が露出していますが、清掃を怠っていると3枚目の写真のように壁面が見えなくなり、油と食材の腐敗した残渣が付着し、ヌメリ状態となり、そこに小バエの幼虫が栄養分を求めて巣を作り成虫となり、やがて排水溝から店内全域に飛び回るということになります。
これが、小バエの発生要因なのです。
肝心のグリストラップの清掃には、厨房内で使用している「中性洗剤」または、頑固な油汚れには、アルカリ系洗剤を使用し、ブラシなどでしっかりこすり、汚れを落とすことが重要です。
さらに、グリストラップ内の重要な除菌対策には、悪臭対策も兼ねた専用の除菌剤を使用することで、雑菌の増殖と悪臭対策が出来、目に見えない食中毒菌の予防対策をすることもできるのです。
詳しくは、こちらをクリックしてご確認ください。
我々、食品衛生アドバイザーは、特に飲食店に入った瞬間ににおいで、厨房内の衛生状態をある程度把握することができます。その根源が、グリストラップと言っても過言ではないのです。
食中毒予防は、モラルが大切!
平成20年3月11日の毎日新聞の記事によると、愛媛県が10日、今治市大三島町宮浦の飲食店が提供した会席料理を食べた13人(30~83歳)が、下痢やおう吐などの食中毒症状を起こしたと発表した。
県今治保健所は庫の飲食店を同日、8日間の営業停止処分にした。
また、県薬務衛生課によると13人は8日に昼食を食べ、入院患者はなく、全員快方に向かっているという。
しかし、驚いたことに同店では先月24日提供した料理でなんと50人が腹痛などの症状を訴え、患者の便からはノロウイルスが検出されたため、同29日から5日間の営業停止処分を受けており、今回の食中毒はその矢先の出来事であった。
営業停止処分中、一体どのような改善を行っていたのだろうか?営業停止処分の本来の意味を理解していたのだろうか?、飲食店の衛生管理に対するモラルが問われる今回の食中毒に対し、停止処分を行った県の指導体制にも疑問を抱かずにはいられない・・・そんな食中毒事件であった。
ヒスタミンによる食中毒について
ヒスタミンによる食中毒と言えば、頭にすぐ浮かぶのもが、鮮度の落ちた「魚のフライ」です。
主に魚介類または魚介類を加工した食品の鮮度が落ちるとヒスタミンが多く生成されやすくなります。
このヒスタミンが多く生成され鮮度の落ちた食品を食べることで起こる症状が、ヒスタミンによるアレルギー性食中毒なのです。
具体的な症状は、喫食後約1時間程度で舌のしびれが起こり、皮膚への発疹(かゆみ)を伴う吐き気と倦怠感に襲われます。症状があらわれてからは、通常1~2日で症状は治まりますが、その間、下痢と腹痛を伴う状態となります。
肝心の予防対策としては、やはり新鮮なうちにできるだけ早期に食べることです。加工食品の場合は、消費期限内を目安にして食べることです。
また、魚介類を購入後(調理後)の保管は、冷蔵状態を維持し短期間で食べることです。特に、ヒスタミンは、熱に分解されにくく一度生産された状態で残ってしまう点と、一般的な腐敗臭が出ないことから臭いでは判断しにくい点がヒスタミンの特徴とも言えます。
魚介類または魚介類の加工品を食べている途中に、舌がしびれるような症状が出た場合は、残っている該当食材を食べずに、速やかに医師の診察を受けてください。
そして、残った食材は、即時廃棄せず、医師の診断及び指示に従って処置を行ってください。