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腸管出血性大腸菌O-157について

2014年4月22日の埼玉新聞に、保育園児のO-157感染の記事が出ていました。
O-157といえば、1996年に堺市で発生した集団食中毒事件を思い出します。

主に、牛などの腸管に生息する微生物で、少量での感染そして発症し、重症化する恐ろしい食中毒細菌です。
調理時の予防対策としては、生肉の中心部分を75℃で1分間以上の加熱が必要となります。
また調理従事の手洗いも徹底し、調理に使う包丁やまな板なども十分な除菌が必要です。

幸いなことに今回の感染では、重症化した患者はなく快方にむかっているとのことで安堵しました。
これから夏場に向けての気温の上昇とともに細菌性食中毒が増加する季節に入りますので、
十分な手洗いと調理器具の除菌そして、食材は常温保存を避け、冷蔵(10℃以下)または冷凍での保存をしてください。

札幌O-157による集団食中毒の感染メカニズムについて

札幌で漬物(白菜の浅漬け)による腸管出血性大腸菌O(オー)157の集団食中毒が発生しましたが、どうして生肉でない食材から腸管出血性大腸菌O(オー)157が発症するのか?・・・という疑問が浮かぶのではないでしょうか。

確かに今回の食中毒事件では、特定された原因食材が漬物(白菜の浅漬け)であり、その具材には一切生肉等は使われていないようです。

しかし、食中毒というものは、すべて「原因食材を直接食べて起こる」とは限らないのです。

例えば、腸管出血性大腸菌O(オー)157に感染している食肉をたべて人(保菌者)が、重度の食中毒症状ではなく、軽い下痢症状だけに留まった症状の場合、普段通りの生活をすることが多々あります。

その場合、体内には、腸管出血性大腸菌O(オー)157の細菌が残っている状態ですから、特に用便後の手洗いがしっかりとできていない場合には、手指に微量の腸管出血性大腸菌O(オー)157が付着したままになることがあります。

もし、手洗い不足の状態のままで食材に触れ調理作業を行ったとすると、腸管出血性大腸菌O(オー)157が調理した食材に付着することがあるのです。これを二次感染(交差汚染)と言います。

今回の食中毒事件では、このような二次感染(食品⇒人⇒食品)のルートで